FIT-04の記事でも少し述べたが、何かに掴まり懸垂によって体を引き上げた時、体は垂直ではなくやや斜めになる。勢いをつけようとして体を前後に揺さぶった結果として傾くのではない。筋肉の収縮のみによって肉体を引き上げた時、人体の構造と重心の関係上、傾くのである。一般的に懸垂とはまず1.棒にぶら下がる→2.肩甲骨を寄せて下げる、ここではまだ肘関節は曲げない→3.結果として上腕骨と身体の間の角度がやや狭くなり1の時点よりも体が傾く→4.ここで初めて肘関節の角度を変化させ、体を引き上げる→5.トップポジションで肘をできる限り後ろに下げ、身体の中央に近づけるよう意識する(これを肘をバックポケットに入れろ、と表現する人もいる)、このような順序をとる。写真を見ると手っ取り早いが、体が垂直ではなく斜めになっているのがわかるだろう。
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まず雲梯にぶら下がり |
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次に肩甲骨を寄せる |
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そして体を上げる |
ぶら下がった時点で胸が反り気味になっている。これは人間の骨格上、上腕骨を垂直に上げることができないためである。自分の全体重を持ち上げる時、全身に力を入れるので体は直線になり、やや傾く。なぜ傾くのか、それは自分の身体の中心よりもやや前を握っているからである。この時前後に何かがあればぶつかってしまうのは当たり前でり、何物にもぶつからずにストレスなく純粋な懸垂ができるのは、現時点ではこの場所この遊具だけなのである。