2019年4月23日火曜日

中村製作所のFIT-04を使用した感想

東田町第二公園にある中村製作所製FIT-04
これは東田町第二公園にある遊具、中村製作所のFIT-04である。公式サイトによると品名はウォールラダーで、この名称から判断すると鉄棒というよりは肋木寄りなのだろうが、最上段が手前に30cmほどずらして取り付けられている。
ぶらさがり、ぶらさがり腹筋、けんすいのピクトグラム
柱に貼られた説明によると用途はぶら下がり、ぶら下がり腹筋、けんすいの三種類。ただし懸垂をするには問題がある。
遊具と向かい合わせにぶら下がったところ

背を向けてぶら下がったところ
 ぶらさがりは正常にできる。遊具に向き合ってぶら下がると最上段以外の横桟が邪魔だが、高さはおよそ2.2mとHM-01の雲梯よりも高く、悪く無いと思う。問題は懸垂である。まずピクトグラムに描かれている通り正面からぶら下がって懸垂しようとすると足が横桟に当たる。足が当たらないように膝関節を曲げ脛を後ろにやっても今度は膝や腿が当たる。公式サイトの製品紹介ページでは遊具を背にして懸垂しているので、その通りに背中を向けて懸垂すると、今度は頭、肩、背中が横桟に当たる。
正面から懸垂すると腿が接触する

背を向けて懸垂。写真では背中が接触している。

つまり懸垂にとって最上段以外の横桟が障害となっているということ。この遊具で懸垂すると肉体的にも心理的にも閉塞感、圧迫感がものすごい。遊具本体に貼られたピクトグラムをよく見ると、ぶらさがり腹筋をしているところでは上から二番目の横桟を握り、背中を遊具に密着させている。こうすることによってぶら下がり時の身体の揺れを防止することは確かにできる。しかし私の経験から言わせて貰えば、ハンギングレッグレイズ時に発生する身体の揺れは、悪いことばかりでは無い。わたしもHM-01の雲梯部でよくハンギングレッグレイズをするが、身体の揺れはチーティングを検出するセンサのようなもので、なるべく体が揺れないようにすることでチーティングを防止できるという利点がある。また上記写真を見ると手前に平行棒があるのがお分かりであろうか。この平行棒を使用し(この平行棒にもまた問題があるのだが、それはいずれ書きたい)、ニーレイズやレッグレイズをすることもできるのである。チーティングや肋木レッグレイズを否定するつもりは決して無いが、この場合は横桟による弊害が大きいので、やはり高高度鉄棒と肋木は別々に設置するべきものであると強く主張したい。このような障害が発生する背景には懸垂に対する無理解があるのではないだろうか。人間が懸垂運動をするとき、人間の体は斜めに傾く。必然、正面や背後に何らかの構造物が存在すれば、懸垂運動の障害になる。この遊具の設計者はどれだけこの遊具で懸垂したのだろうか。スポーツ経験者に使用させたりはしなかったのだろうか。本来は別々の二つの遊具を融合させたことで、本来の使用方に障害が発生し、構造も複雑になるのでは本末転倒である。この公園は新興住宅街の中にあるので、周辺住民の平均年齢は比較的若いはずだ。今からでもFIT-04は肋木専用と割り切り、高高度鉄棒を併設すべきだ。必ず需要はある。