ポール・ウェイドがコンヴィクト・コンディショニングの中でマッスルアップの事をセントリー・プルアップ Sentry Pull Up という名で呼んでいた。Sentry を辞書で引いてみると、歩哨、見張り番などと出ている。"Sentry Pull Up" で検索してもポール・ウェイド関係の記事しか出てこないので、今はもう使われなくなった古風な呼び名ということなのだろうが、私はこの別名が好きである。
マッスルアップという名前はなんとなく筋力のみで上がるストリクトな種目のような響きがあるが、実際は私のような初心者ほど慣性に頼っているし、YouTubeの動画を見ていても慣性を排した筋力のみのマッスルアップはかなりの達人でないと不可能なひとつの到達点であるように思える。またマッスルアップという単語を知らない人が見ると、筋肉量が増えたかのような誤解を持つのではないか。セントリー・プルアップなら少なくとも懸垂の一種であることはわかる。
そしてなにより見張りという言葉の響きである。私はキリスト者ではないので聖書の話をするのは気がひけるが、聖書の中では見張り人という言葉が一種象徴的な意味合いを持つ。つまりこれはどのような意味かといえば、見張り人は共同体になんらかの危機が迫った時、角笛を吹いてこれをみんなに知らせなければならない重要な役割がある。英語版聖書では見張り人は Watchmen なので Sentry とは全く別の単語なのだが、日本語で言えばどちらも見張りなのであり、公園と遊具に迫る危機に立ち向かわなければならないという私の境遇とつい重ね合わせて見てしまう。
思うにコンヴィクト・コンディショニングの読者や信奉者であれば、マッスルアップをセントリー・プルアップと言い換えてこの呼び名の復権を目指してもよいのではないかと思う。